稲荷祝詞・稲荷大神秘文
稲荷祝詞(いなりのりと)の全文
掛巻も恐き稲荷大神の(かけまくもかしこきいなりのおおがみの)
大前に恐み恐みも白く(おおまえにかしこみかしこみももうさく)
朝に夕に勤み務る(あしたにゆうべにいそしみつとむる)
家の産業を(いえのなりわいを)
緩事無く怠事無く(ゆるぶことなくおこたることなく)
弥奨めに奨め賜ひ(いやすすめにすすめたまい)
弥助に助け賜ひて(いやたすけにたすけたまいて)
家門高令吹興賜ひ(いえかどたかくふきおこさしめたまい)
堅磐に常磐に命長く(かきわにときわにいのちながく)
子孫の八十連属に至るまで(うみのこのやそつづきにいたるまで)
茂し八桑枝の如く令立槃賜ひ(いかしやぐわえのごとくたちさかえしめたまい)
家にも身にも枉神の(いえにもみにもまがかみの)
枉事不令有過犯す事の(まがことあらしめずあやまちおかすことの)
有むをば神直日大直日に(あらむをばかむなおひおおなひに)
見直し聞直し座て(みなおしききなおしまして)
夜の守日の守に守幸へ賜へと(よのまもりひのまもりにまもりさきわえたまえと)
恐み恐みも白す(かしこみかしこみももおす)
稲荷祝詞の訳
口に出すのも畏れ多い稲荷大神の御前で、恐れながらも申し上げますことは、
「朝晩働く家業を緩まず怠らず続けられますよう、一層奨励し援助してくださり、家門を興隆させてくださり、堅い岩が永遠にそこにあるように命も長く、子孫を長く続きいて多くの桑の枝が茂るように多く繁栄させてくださり、家にも身にも、曲がった神の曲がったことをあらせないで、過ちを犯す事のあるのを、曲がったことを直す神様のお力でもって、見直し聞直しなさって、夜も日も守って幸いを与えてください。」
ということを、恐れながらも申し上げます。
稲荷大神秘文(いなりおおかみひもん)の全文
夫神(それかみは)は 唯一(ゆいいつ)にして御形(みかた)なし
虚(きょ)にして霊有(れいあり)
天地(あめつち)開闢(ひらけて)て此方(このかた)
国常立尊(くにとこたちのみこと)を拝(はい)し奉(まつれ)れば
天(あめ)に次玉(つくたま) 地(つち)に次玉(つくたま)
人(ひと)に次玉(やどるたま)
豊受(とようけ)の神(かみ)の流れを 宇賀之御魂命(うがのみたまのみこと)と
生出給(なりいでたま)ふ 永(なが)く神納成就(しんのうじょうじゅ) なさしめ給(たま)へば
天(てん)に次玉(つくたま) 地(ち)に次玉(つくたま) 人(ひと)に次玉(やどるたま) 御末(みすえ)を請(う)け信(しん)ずれば
天狐(てんこう) 地狐(ちこう) 空狐(くうこう) 赤狐(しゃっこう) 白狐(びゃっこう) 稲荷(いなり)の八霊(はちれい) 五狐(ごこう)の神(しん)の
光の玉(ひかりのたま)なれば 誰(だれ)も信(しん)ずべし 心願(しんがん)を以(もっ)って 空界蓮來(くうかいれんらい)
高空の玉(こくうのたま) 神狐の神(やこうのしん) 鏡位(きょうい)を改(あらた)め 神宝(かんたから)をもって
七曜九星(しちようきゅうせい) 二十八宿(にじゅうはっしゅく) 當目星(とめぼし) 有程(あるほど)の星(ほし) 私(わたし)を親(した)しむ
家(いえ)を守護(しゅご)し 年月日時(ねんげつじつじ) 災無く(わざわいなく)
夜の守(よのまもり) 日の守(ひのまもり) 大成哉(おおいなるかな) 賢成哉(けんなるかな) 稲荷秘文(いなりひもん) 慎み白す(つつしみもうす)
稲荷大神秘文の訳
そもそも神は唯一つであって、形があるものではない。形ある実体はなく虚であって、霊があるだけである。
天地ができてから、人が国常立尊(宇賀之御魂命)を拝み祀るのは、天から受け継いだ霊が、地に受け継がれ、人にも宿るからである。
神の霊は、食物(ケ、ウケ)をつかさどる、伊勢外宮にいらっしゃる豊受の神として立ち顕れ、同じく食物の神である宇賀之御魂命として現界した。
とこしえに神への祈りを受納いただき神のご意志を叶えるには、こうした天から地・人へと流れる霊を感じ、すべては神の末であると信じなければならない。
天狐・地狐・空狐・赤狐・白狐(プラス三霊狐)の稲荷の八霊のうち、特に列記した五狐は光の霊であるので、そうした光の霊による守護を心から願い、誰も(皆)信じなさい。
虚空の世界から来たる仏も天空の霊であり、野狐(三霊狐のひとつ)の神です。
鏡を正しく置き、十種神宝によって七曜(7つの惑星)九星(方角や暦)、二十八宿(天の赤道付近の28の星座)、当目星(北極星あるいは守護星)、その他全宇宙の星々が私の味方になります。
わが家をお守りくださり、長い年月にわたって厄災が起こらない様にお祈りします。夜を守り、昼も守ってください。
稲荷の神の霊威はなんと偉大なるものでしょうか、なんと賢く優れたものでしょうか。稲荷の隠されし秘文を慎んで申し上げます。